クリント・イーストウッドは、俳優時代から魅力を感じていた。はじめに見たのは「荒野の用心棒」だ、この映画は黒澤明監督の『用心棒』(1961年)を非公式にリメイクした作品で
イタリアの監督セルジオ・レオーネは、この映画によってマカロニ・ウェスタンというジャンルが確立される。マカロニ・ウェスタンとして日本でも人気になった。
ウェスタン映画としてよくここまで黒澤映画の用心棒を忠実にリメイクしたものだと当時、感心させられた。特に観客にアウトローのかっこよさを鮮烈に印象付けていた。
クリント・イーストウッドは、ここから人気を得て『夕陽のガンマン』と『続・夕陽のガンマン』の2本に抜擢された。
また映画音楽は御存知エンニオ・モリコーネの比類なき映画音楽が加味されて、鐘や鞭の音などを多彩に組み合わせた斬新なアレンジで、マカロニ・ウェスタンの音楽見る人の耳に残った。
目次
クリント・イーストウッドが作った映画は、好きな所がいっぱいある。
まず脚本がシッカリしていて、見ている人を引きつける。しかも優しさや、温かいものを感じさせ、いつもエンドロールを見て流れる音楽に聞き入ってしまう。
実録映画が多いこと、これはには説得力がある。
イーストウッドは実話の映画化を好み、古くは『バード』(1988)、『ホワイトハンター ブラックハート』(1990)、近年も『インビクタス/負けざる者たち』(2009)、『チェンジリング』(2008)、『J・エドガー』(2011)、『アメリカン・スナイパー』(2014)などだ。
イーストウッドの音楽好きは映画を見ていればよくわかる。時折流れる音楽にも優しさが溢れていて心を和ませる。とりわけジャズの大ファンだそうだ。自分自身でもピアノなど、かなりの腕前だ。
彼の映画で『チェンジリング』・『グラン・トリノ』・『ヒヤーアフター』など、エンドロールにピアノ音楽が使われていて、しかもそのピアノの音色は心を静かに穏やかに、優しく包み込むようなピアノ曲が多い。
この事からもピアノ好きで音楽にもかなりの、こだわりを持っていることがよく分かる。
男らしくて骨っぽく頑固者のイメージのあるイーストウッドだが、人間の情けない部分を打ち出した作品が、多くとても自然で惹かれる。
ヒーローではなく、あくまで生身の人間を語っているのが、イーストウッド作品の本質のように感じる。
数年間に1回は見ている映画は『ミリオンダラー・ベイビー』ボクシングに希望を見い出そうとする女性と、そのトレーナーの心の葛藤(かっとう)を丹念に描いた作品だ。
2度のアカデミー賞作品賞、監督賞ダブル受賞を果たしているだけあって、見始めるとどうしても最後まで見てしまう。又最後のエンドロールがピアノでの静かな曲を流しているこれも心にしみる。
『チェンジリング』も衝撃的でこれが実話だということが信じられない。数年に1回は見直している。
クリント・イーストウッド監督作品は、好きなものが多いが、最近作と記憶に残る作品を紹介します。
最近作としてNETELIXで見た「運び屋」クリント・イーストウッドが数年ぶりに監督し、さらに出演作品でもあります。
なんと言って、90歳の麻薬運び人という題材は、すごく興味深い!実年齢に近い老人役として、いまの彼がもっとも魅力的な作品であることは間違いない!
今の実年齢を実にナチュラルに演技して、それだけで素晴らしと僕などは感動する、特に、シニアーの方が見るとまた感かたも、違うと思う。
これも実話で、2011年に90歳の麻薬の運び屋が逮捕された事件を基に、今まで仕事ばかりで、家族を蔑ろにしてきた老人がその埋め合わせをするために危険な運び屋の仕事を始めるという・・・
商売に失敗し、自宅も差し押さえられかけたとき、車の運転さえすればいい、という仕事を持ちかけられ、それなら簡単と引き受けたが・・・それが実はメキシコの麻薬カルテルの「運び屋」だということを、初めは知らなかった・・・。
仕事がら車での移動が多かったが、スピード違反もなく、犯罪歴もない老人が荷物を運ぶことでお金がもらえると言いたことから、いつものように気楽に運転し運び屋を始める。
運転中にカーラジオの音楽を自分で歌いながら気楽に運転している。歌は年老いた人ならアメリカでもよく知られている歌をいつも歌っているなど、アメリカ人なら懐かしく思えクスッと笑ってしむのかもしれない。
俳優としても無理がなく自然な演技がとても魅力的だ!
この映画は、自身は出ていないが、監督としての才能は物凄くあると感じます。『ミリオンダラー・ベイビー』についで衝撃を受けた映画は『チェンジリング』だ!
シングルマーザーが子供と、お出かけする約束をしていたが、仕事が入り休みの日に出かけてしまう。
急いで家に戻ると息子が家にいない、警察に捜索願を出すのだが24時間は、帰ってく来る可能性があるので操作できないと断られ・・・やっと見つかったと連絡を受けて駅に迎えに行くと、実は自分の子供ではなかった?
報道関係者の前で警察に無理やり親子として写真を取らされ家に連れて帰らされるところから物語は始まっていく。
警察組織の権力が強く、逆らうと殺されるか、精神病院送りになる時代だ。アメリカの絶対的権力の間の中で、警察との闘いへ雪崩こんでいく様は彼女の意思の強さだけでは立ちゆかない歯がゆさがある。
長い闘いの果てに見えてきた真実はショックを受けるほど辛いものがある。これが実話だと言うから恐ろしくなる。とても見ごたえのある映画として記憶に刻まれる。
大リーグ最高のスカウトのひとりとして何十年も敏腕をふるってきた主人公だが、データーを元にスカウトする人が多い中、自分の目で実際に見て頑固にもスカウトしようとする。
そろそろ年齢による衰えをごまかしきれなくなってきて、周りには相手にされない。愛娘は三十路のキャリアウーマンで、そのやる気と野心によって事務所の共同経営者への昇格を目前にしていた。
父のキャリアを救おうとすれば、自分自身のキャリアを危うくしかねない。だが、不本意ながらも、父親の抵抗にもかかわらず、娘はスカウトのためにノース・カロライナまで行き、父に付き添うことにする。
頑固者の父親に協力をし、徐々にスカウトに必要なこと、見るべき点や、音で聞き分けるなど、教えられ、助けて行く中で親子の関係を蜜にわかりあえていくと、言ったストリーだ・・・
一人暮らしの頑固な老人ウォルトは、人に心を許さず、自分の芝に人が一歩でも足を踏み入れるとライフルを突きつけるなどアメリカの頑固オヤジ・・・
しかし隣に、移民のアジア人家族が引っ越してきた、家族の中のタオと言う少年は、手本になる父親がいない。
ある日タオが、主人公の大切にしているヴィンテージ カー・グラントリノを盗もうとした事から付き合いが始まる。
アジア人とアメリカ人の習慣の違いも面白く描かれており、又頑固オヤジと床屋の汚い言葉のやり取りを、男はこうあるべきと少年に教えてえて使わせるなど、そのへんもアメリカ人、気質がよく描かれている。
タオは学校にも行かず、仕事もない少年だ。その交流を通して頑固ながらも少しずつ心を開き少年に色々教えていく。
アジア系ギャングにタオや家族がいじめられている様子を見て、それに立ち向かって行き自分が犠牲になってしまう。
遺産のビンテージカー グラントリノも遺言によって振り分けられるが色々な決め事があるなど・・・自分の生きざまが描かれている。
最後のエンドロールで流れる音楽は自分自身で歌っている点も泣けてくる。
刑務所から二人の男が脱獄し、テリーとブッチは逃走途中に民家へ押し入り、8歳の少年フィリップを人質に逃亡する。
脱獄犯ブッチ・ヘインズは、8歳の少年フィリップを人質に逃亡を続けていた。ある日一緒に脱獄したテリーが少年を犯そうとしたことから殺してしまう。
ブッチは凶悪な犯罪者ではなく、窃盗で刑務所に入っていて、しかも知能指数がとても高いことがわかってきます。逆にテリーは、知性も教養もなく野蛮な人殺しです。
少年を人質にとりながら逃亡する脱獄囚だが、ねぜか逃げ切って欲しいという感情が湧いてきます。最後のブッチとフィリップの別れのシーンは何度見ても胸が熱くなる。泣けて泣けてたまりません。
この映画も制作は26年前になり古いですが、何回見ても、見入ってしまいます。ここでもクリント・イーストウッド監督の才能が分かります。
もちろん他にも好きな映画がいっぱいある。
アメリカン・スナイパー、ヒア アフター、ハドソン川の悲劇、インビクタス 負けざる者たち、ジャージー・ボーイズ、スペース・カウボーイ、ミスティック・リバーなど上げればきりがない。
僕自身、クリント・イーストウッドが監督、出演した映画をかなり多くコレクションしている。それだけ見返してもまた引き込まれる魅力を持っているのだろう。
一度みなさんも見返してみると、実話の面白さ、音楽選び、イーストウッドの無骨な反骨精神と実年齢に近い自然な演技に引き込まれるはずだ。